
人口密集地域定义.pdf
9页本編 第2章 - - 1 6第2節 人口密集地域の定義 審議の対象とする人口密集地域を定義し、東京都内の約 5 , 0 0 0の町丁目から、対象となる地域を分類・抽出した また、審議検討に際して、具体的な人口の流動や建物の使用の実態等を把握し、地震時の被害の定量的な分析を行うため、 抽出した地域の中からケーススタディ地区を選定した 1 人口密集地域の定義と対象地域の分類・抽出 今回の審議では、オフィス街、繁華街、中高層住宅街など、平休日の別や時間帯に応じて多数の人が勤務、滞留又は居住し、かつ非木造建物が集積している「高層高密な市街地」を「人口密集地域」として定義した この考え方に基づき、東京都内の各町丁目を対象として、検討対象とする地域の分類・抽出を行った 地区ごとの人口は、時間帯により変化しており、その変化は個人の目的により影響を受けているこのことから、オフィス街地域では昼間、繁華街地域では夕方、中高層住宅街地域では夜間など、地域によって人口が集中する時間帯は異なると考えられる これらの地域をすべて対象としてとらえるため、国勢調査における昼夜間人口5)、市街地状況調査の非木造建物データ6)、 並びに事業所・企業統計調査7)等を用いて、 分類・抽出を行った。
( 1 ) 活用したデータ ア 人口データ オフィス街・繁華街地域では昼間人口、中高層住宅街地域では夜間人口の密度が高いと予想されるため、 「平成 1 2年国勢調査」5)による町丁目別の昼間人口、夜間人口を利用した (なお、昼間人口は東京都統計による推定値である ) イ 非木造建物データ 本審議では、非木造建物が集積している地域を対象とするそこで、非木造建物に関連するデータとして、東京消防庁の「市街地状況調査(第6回) 」6)による町丁目別の耐火造平均階数、全建物平均階数及び耐火造混成率を用いた ウ 事業所データ オフィス街地域や繁華街地域の特性を分けるのは、事業所の業種であると考えられるそこで、 「平成 1 3年事業所・企業統計調査」7)における事業所数、店舗・飲食店従業員数比率、事務所・営業所従業員数比率を指標として用いた ( 2 ) 対象地域の分類・抽出 前( 1 ) のデータを利用し、次の方法で対象地域の分類・抽出を行った 本編 第2章 - - 1 7ア 第1ステップ 都内の全町丁目について、各地区の昼間人口密度、耐火造建物平均階数、耐火造建物混成率、全従業員数、店舗・飲食店従業員数比率および事務所・営業所従業員数比率を入力変数として、主成分分析※を行い、オフィス街に相当する地域、繁華街に相当する地域、中高層住宅街に相当する地域がそれぞれ別の主成分として現れるように抽出した。
表 2 - 2 - 1は主成分分析の結果であるこれによると、第1主成分がオフィス街に相当する地域、第2主成分が繁華街に相当する地域、第4主成分が中高層住宅街に相当する地域として分類することができる各地域の説明は、次のとおりである ・ オフィス街に相当する地域:昼間人口密度、全従業員数、事務所・営業所従業員数比率および耐火造建物平均階数・耐火造建物混成率が大きい地域 ・ 繁華街に相当する地域:昼間人口密度、全従業員数、店舗・飲食店従業員数比率および耐火造建物平均階数が大きい地域 ・ 中高層住宅街に相当する地域:昼間人口密度、全従業員数が小さく、耐火造建物平均階数・耐火造建物混成率が大きい地域 ※主成分分析は、互いに相関のある多数の変数の情報を、互いに無相関な少数の合成変数に要約 する分析である例えば、試験の点数を評価する時、合計点で評価するのではなく、その多く の科目から要約された2、3の新しい合成得点を作成してそれを評価する、といった場合に使 用される 表 2 - 2 - 1 主成分分析の結果 第1 主成分 第2 主成分 第3 主成分 第4 主成分 第5 主成分 第6 主成分 耐火造建物平均階数0 . 4 70 . 1 6- 0 . 0 50 . 3 40 . 7 5- 0 . 2 7 耐火造建物混成率0 . 4 40 . 0 3- 0 . 5 20 . 4 8- 0 . 5 5- 0 . 0 5 昼間人口密度0 . 4 90 . 1 70 . 0 2- 0 . 2 60 . 0 70 . 8 1 全従業員数0 . 4 40 . 2 10 . 0 0- 0 . 6 8- 0 . 2 0- 0 . 5 1 店舗・飲食店従業員比率- 0 . 1 40 . 8 70 . 3 60 . 2 4- 0 . 2 0- 0 . 0 2 事務所・営業所従業員比率0 . 3 7- 0 . 3 80 . 7 70 . 2 4- 0 . 2 3- 0 . 0 7 固有値3 . 2 21 . 0 90 . 5 70 . 5 60 . 3 10 . 2 5 寄与率0 . 5 40 . 1 80 . 1 00 . 0 90 . 0 50 . 0 4 累積寄与率0 . 5 40 . 7 20 . 8 10 . 9 10 . 9 61 . 0 0 固有値:各主成分がもとの変数の情報をどれだけ説明しているかを表すものであり、また、各主成分の中でど れが重要なのかを表す値である。
値が大きいものほど、各変数の情報をよく説明し、かつ、重要な主 成分であることを意味する 寄与率:固有値は、値が大きいほど主成分の説明力は高くなると判断できるが、用いたデータの単位によって その大きさは変化してしまう一方、寄与率は、各主成分の固有値全体に占める割合として、主成分 の説明力を表す値である表2の場合、各入力変数の情報を最もよく説明している主成分は第1主成 分であり、 類型化された6つの主成分全体のうちの 54%の寄与率で元の情報を説明していることにな るまた、第2主成分は6つの主成分全体のうちの寄与率は 18%である イ 第2ステップ 前アの結果をもとに、人口密集地域を次の基準にしたがって抽出した ・ オフィス街・繁華街地域(2 8 0町丁目) 昼間人口密度が 3 8 , 0 0 0人/ k m2以上、かつ全建物平均階数が3階以上の町丁目 本編 第2章 - - 1 8・ 中高層住宅街(9 5町丁目) 夜間人口密度が 1 7 , 0 0 0人/ k m2以上、かつ全建物平均階数が3階以上の町丁目 ※人口密度については、 (東京都の平均+標準偏差)以上であることを基準とした。
※全建物階数については、非木造建物が集積している地域を対象とするため、木造・非木造建 物の棟数比率と平均階数を勘案して、全建物平均階数3階以上を基準としたこの定義によ る地域では、木造建物階数は平均 1 . 4階、耐火造建物階数は平均 5 . 7階であり、全建物棟数 に占める非木造建物棟数の比率は平均 6 6 %、最小 3 2 %である ウ 第3ステップ 前イの結果をもとに、オフィス街、繁華街、中高層住宅街に相当する町丁目を整理したここでは、各町丁目について得られた3つの主成分得点を寄与率により補正し、その中から一番高い値となる主成分をもとに、それぞれの地域に区分したなお、主成分得点が負のものは0として扱った ( a ) : 「オフィス街に相当する主成分得点/該当する主成分の寄与率」 ( b ) : 「繁華街に相当する主成分得点/該当する主成分の寄与率」 ( c ) : 「中高層住宅街に相当する主成分得点/該当する主成分の寄与率」 ( 3 ) 分類・抽出の結果 オフィス街、繁華街、中高層住宅街として分類・抽出された町丁目はそれぞれ次のとおりである ・ オフィス街 2 3 3町丁目(約 2 6 . 7 k m2) (千代田区大手町一丁目、千代田区内幸町二丁目、新宿区西新宿ニ丁目 等) ・ 繁華街 4 7町丁目(約 6 . 5 k m2) (新宿区西新宿一丁目、新宿区新宿三丁目、新宿区歌舞伎町一丁目 等) ・ 中高層住宅街 9 5町丁目(約 1 1 . 8 k m2) (江戸川区臨海町五丁目、練馬区光が丘五丁目、港区麻布十番四丁目 等) 抽出された各町丁目の一覧は、資料編に示す。
また、それらの各町丁目の分布状況を、図 2 - 2 - 1に示す 本編 第2章 - - 1 9図 2 - 2 - 1 人口密集地域の分布図 オフィス街地域 2 3 3町丁目 繁華街地域 4 7町丁目 中高層住宅街地域 9 5町丁目 合計 3 7 5町丁目 - 1 9 - 本編 第2章 本編 第2章 - - 2 02 ケーススタディ地区の選定 人口密集地域における人口の流動や建物の現況等を把握し、地震時の火災被害や人的被害を具体的に検討していくため、前1で分類・抽出したオフィス街、繁華街、中高層住宅街の各町丁目の中から、表 2 - 2 - 2に示す8箇所のケーススタディ地区を選定 した 設定にあたっては、市街地の利用形態が混在していることによる被害の特徴についても検討する必要があるため、前1の分類結果による主成分得点が最上位の町丁目を選択するのではなく、ある程度多様な用途や規模の建物が分布していると予想される町丁目を選定したまた、オフィス街、繁華街、中高層住宅街の特徴をあわせ持つ中間的な地区も選定した 図 2 - 2 - 2は、各ケーススタディ地区の特性を表したものである。
図の中の、オフィス街度( X ) 、繁華街度( Y ) 、中高層住宅街度( Z ) は、前1( 2 ) ウで求めた( a ) , ( b ) , ( c ) の値について、それらの合計値が1となるように基準化し、各要素の度合いとして示したものである また、既存の統計データからみた各ケーススタディ地区の人口、建物、事業所等の特性を表 2 - 2 - 3に示すとともに、各地区のイメージを写真 2 - 2 - 1に示す 表 2 - 2 - 2 ケーススタディ地区 分 類 ケーススタディ地区 オフィス街地域 港区芝五丁目(1 0位) 港区西新橋一丁目(2 1位) 繁華街地域 新宿区歌舞伎町一丁目(3位) 武蔵野市吉祥寺本町一丁目(1 0位) オフィス街と繁華街の中間的な 地域 中央区銀座八丁目(繁華街8位) 中高層住宅街地域 港区麻布十番一~三丁目(1 6 、1 7 、2 1位) 中央区佃二丁目(2 0位) オフィス街・繁華街と中高層住 宅街の中間的な地域 墨田区錦糸一~三丁目 (オフィス街 1 4 7位、繁華街 4 4位、中高層住宅街 8 4位) ※カッコ内は、各地域区分の主成分得点の大きさからみた順位を示す。
本編 第2章 - - 2 11:オフィス街地域 5:オフィス街・中高層住宅街地域(オフィス街度が高い) 2:オフィス街・繁華街地域 6:中高層住宅街・繁華街地域(中高層住宅街度が高い) 3:繁華街地域 7:オフィス街・繁華街・中高層住宅街地域 4:中高層住宅街地域 図 2 - 2 - 2 各ケーススタディ地区の特性 芝五丁目 西新橋一丁目 歌舞伎町一丁目 吉祥寺本町一丁目 銀座八丁目麻布十番二丁目 麻布十番一丁目 麻布十番三丁目 佃二丁目 錦糸三丁目錦糸二丁目錦糸一丁目オフィ ス街度 中高層住宅街度 繁華街度1234567本編 第2章 - - 2 2表 2 - 2 - 3 ケーススタディ地区の属性 オ フ ィ ス街地域地区名町丁目名市街地面積 ( ㎡)耐火造建物 平均階数( 階)全建物 平均階数( 階)耐火混成率 ( %)全建物棟数 ( 棟)夜間人口 [H 12 ]( 人)昼間人口 [H 12 ]( 人)夜間人口密度 ( 人/k m 2 )昼間人口密度 ( 人/k m 2 )全事業所数 [H 13]全従業員数 [H 13]港区芝五丁目ー2 14, 1505. 03. 98 5. 250 23, 0 。
