
道州制関基本的考方.pdf
9页1-道州制に関する基本的考え方道州制に関する基本的考え方平成19年1月18日 全国知事会1はじめに1はじめにこれまで我が国は、国が大きな権限や財源を持つ中央集権型の 行政システムの下で、急速な近代化と経済成長を成し遂げてきた が、その中で都道府県は、法的地位等の変容を経ながらも、明治 期以来約120年の長きにわたり、その構成と区域を維持し、広 域の地方自治体として、大きな役割を担ってきた 成熟社会を迎え、量的な拡大よりも質的な充実に対する住民ニ ーズが高まる中、個性豊かで活力に満ちた地域を創造し、我が国 の一層の発展を図っていくためには、現在の硬直化した画一的な 中央集権型システムを改め、自己決定・自己責任の原則の下、地 方が真に自立した地方分権型の行政システムを確立することが求 められている このような地方分権改革の流れの中で、近年、市町村合併が大 きく進展する一方、都道府県の区域を越える広域行政課題の増大 等、都道府県を取り巻く社会経済情勢が大きく変化し、分権改革 の担い手としての広域自治体のあり方が問われているこのこと は、長い歴史を持つ都道府県のあり方にかかわり、住民生活や地 域経済にきわめて大きな影響を及ぼすことになる。
そのため、国・地方の双方が積極的に情報発信し、国民の理解 を得ながら、これからの国と広域自治体のあり方について議論を 進めていかなければならない今後さらに地方分権を進め、真の 分権型社会を実現するためには、単に広域自治体である都道府県 だけの問題にとどまることなく、国と地方の役割分担を抜本的に 見直すことにより、中央省庁の解体再編も含めた我が国統治機構 全体の改革を行う必要があるこのことが国と地方を通じた効率 的な行政システムの再構築による新しい政府像の確立につながる ものである2-2道州制の検討に当たっての全国知事会の立場2道州制の検討に当たっての全国知事会の立場道州制については、昨年になって、第28次地方制度調査会の 答申をはじめ、安倍内閣で道州制担当大臣が置かれ、国民的議論 の前提となる「道州制ビジョン」策定について検討が始められた ほか、自由民主党においても、道州制調査会が素案の策定に向け 議論を開始するなど、国レベルにおいて道州制の導入に向けた動 きが本格化してきた 道州制の検討を進めるに当たっては、国民的な理解を得て、我 が国統治機構全体を改革し、地方が真に自立する税財政システム を確立するなど、解決しなければならない大きな課題があるが、 現在のところ、道州制の姿について国と地方との間で明確なイメ ージが共有されておらず、道州制のメリット等に関する検証が十 分進んでいないことから、導入を前提とした進め方に慎重な意見 があることも事実である。
しかしながら、かつて見られなかったほど道州制の議論が盛り 上がりを見せる中、全国知事会は、道州制議論において、正に当 事者として、様々な課題について検討を加えながら真摯に議論を 重ね、最も積極的に提案していかなければならない立場にある 言うまでもなく、道州制は、国のかたちの根本に関わるもので あり、国と地方双方の政府を再構築し、真の分権型社会を実現す るためのものであって、国の都合による行財政改革や財政再建の 手段では決してないまた、道州制の議論にかかわらず、まず第 二期地方分権改革を着実に推進しなければならない 以上の点を踏まえ、ここに道州制の基本的考え方を示すことに よって、道州制に対する全国知事会の立場を明らかにするととも に、政府や各政党をはじめとする関係機関に対し、道州制の検討 に当たっての課題を提示しようとするものである3-3道州制の基本原則3道州制の基本原則 道州制の検討に当たっては、以下の基本原則が前提とならなけ ればならない1道州制は地方分権を推進するためのものでなければなら ない1道州制は地方分権を推進するためのものでなければなら ない国と地方自治体双方のあり方を同時・一体的に抜本的に見直 し、国から地方への決定権の移譲を実現し、分権型社会におけ る広域自治体に必要な要件を満たす新たな地方制度として「道 州制」を検討しなければならない。
2道州は、都道府県に代わる広域自治体とし、地方自治体は道 州と市町村の二層制とする2道州は、都道府県に代わる広域自治体とし、地方自治体は道 州と市町村の二層制とする道州は、国と市町村の間の広域自治体として、市町村と役割を分 担して、主に地域における広域行政を担うものとすべきである国 の出先機関的な性格や国と地方自治体の中間的な性格を持つような ものであってはならない3国と地方の役割分担を抜本的に見直し、内政に関する事 務は、基本的に地方が一貫して担うことで、地方において 主体的かつ総合的な政策展開が可能となるものでなければ ならない3国と地方の役割分担を抜本的に見直し、内政に関する事 務は、基本的に地方が一貫して担うことで、地方において 主体的かつ総合的な政策展開が可能となるものでなければ ならない「国と地方の役割分担」を抜本的に見直し、現在国が担って いる事務については、外交、防衛、司法など、国が本来果たす べき役割に重点化し、内政に関する事務は、基本的に地方が担 うこととすべきであり、このことが、国と地方の二重行政解消 にもつながるものである その際、都道府県が担ってきた事務については可能な限り市 町村に移管することによって、住民や地域に身近な行政サービ スについては、最も身近な基礎自治体が担い、道州は、広域自 治体として市町村の区域を越える広域的な事務や高度な技術や 専門性が必要な事務等を担うこととすべきである。
4-4役割分担の明確化に当たっては、事務の管理執行を担っ ている「地方支分部局」の廃止は当然のこと、企画立案を 担っている「中央省庁」そのものの解体再編を含めた中央 政府の見直しを伴うものでなければならない4役割分担の明確化に当たっては、事務の管理執行を担っ ている「地方支分部局」の廃止は当然のこと、企画立案を 担っている「中央省庁」そのものの解体再編を含めた中央 政府の見直しを伴うものでなければならない国と地方の役割分担に基づき、国が果たすべき役割に最もふ さわしい中央政府の姿を検討するという観点から、国の事務権 限の仕分けを行い、地方支分部局の廃止のみならず、中央省庁 の解体再編を含め、地方への権限移譲を検討しなければならな い また、国から地方への公務員の身分移管の方策についても検 討しなければならない5内政に関する事務について、道州に決定権を付与するた め、国の法令の内容を基本的事項にとどめ、広範な条例制 定権を確立しなければならない5内政に関する事務について、道州に決定権を付与するた め、国の法令の内容を基本的事項にとどめ、広範な条例制 定権を確立しなければならない内政に関する事務について、道州が事務を自主的・自立的に 担えるようにするため、国の法令については大綱的なものに限 定するなど、基本的な事項を定めるにとどめ、道州において広 範に条例制定ができるようにしなければならない。
6道州が地域の特性に応じ、自己決定と自己責任のもとで 政策展開できるよう、国と地方の役割分担に応じた、自主 性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならな い6道州が地域の特性に応じ、自己決定と自己責任のもとで 政策展開できるよう、国と地方の役割分担に応じた、自主 性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならな い地方が担う役割に見合った地方税収を確保するため、税体系 、を抜本的に再構築し 地方の課税自主権を強化する必要がある 例えば、諸外国の事例を参考にした共有税の導入など、現行の 国税と地方税の税目や課税自主権のあり方も含めた抜本的な見 直しを行い、可能な限り偏在性が少なく、安定性を備えた地方 税体系を構築しなければならない 道州間の歳入を一定程度均等化するための財政調整制度につ いては、まず、現行の地方交付税がそもそも標準的な行政サー-5-ビスを全国どの地域においても享受できることを前提とした自 治体の財源保障を担うものであることから、これを地方の固有 財源として明確に法的に位置づけ、その総額や配分方法につい ては、国と地方において決定する仕組みの導入を検討しなけれ ばならない。
さらに、全てを国と地方の垂直的な財政調整で賄っている現 行方式に加えて、国からの関与や依存度を縮小するという観点 から、一部について、道州間で主体的に財政調整を行う水平的 な調整の仕組みを併用することも検討しなければならない7道州の区域については、国と地方双方のあり方の検討を 踏まえて議論されるべきものであり、枠組の議論ばかり先 行させるのではなく、地理的・歴史的・文化的条件や地方 の意見を十分勘案して決定しなければならない7道州の区域については、国と地方双方のあり方の検討を 踏まえて議論されるべきものであり、枠組の議論ばかり先 行させるのではなく、地理的・歴史的・文化的条件や地方 の意見を十分勘案して決定しなければならない道州の区域は、経済的に自立性の高い圏域を形成するという 観点や地域の事情を考慮して定めるものとするが、その際、住 民が一体感を持つことができるよう地域の意見を反映した区域 となるように設定すべきであり、地理的特性や歴史的事情等も 考慮すべきである なお、道州の区域等の枠組は、国と地方双方のあり方の検討 を踏まえて議論されるべきものであり、国において一方的に区 、域を絞り込むなど 枠組を先行させた議論を行うべきではない-6-4地方分権改革の推進4地方分権改革の推進道州制議論にかかわらず、地方分権改革推進法に沿って、 地方が提案している国と地方の役割分担の見直し、国から 地方への権限及び税財源のさらなる移譲、法令による義務 づけの廃止・縮小、国と地方の二重行政の解消による行政 の簡素化等の改革を一体的に進める必要がある道州制議論にかかわらず、地方分権改革推進法に沿って、 地方が提案している国と地方の役割分担の見直し、国から 地方への権限及び税財源のさらなる移譲、法令による義務 づけの廃止・縮小、国と地方の二重行政の解消による行政 の簡素化等の改革を一体的に進める必要がある地方分権改革は、道州制議論にかかわらず当然進められなけ ればならず、道州制の論議が地方分権改革を停滞させる理由と ならないよう、地方分権改革推進法に沿って、地方が提案して いる国と地方の役割分担の見直し、国から地方への権限及び税 財源のさらなる移譲、法令による義務づけの廃止・縮小、国と 地方の二重行政の解消による行政の簡素化等の改革を一体的に 進めなければならない。
7-5道州制検討の進め方5道州制検討の進め方1国と地方が一体となった検討機関の設置が必要である1国と地方が一体となった検討機関の設置が必要である道州制は、国と地方双方の政府のあり方を再構築するもので あることから、両者が共通の認識を持って検討していくことが 不可欠であるそのため、道州制の検討は政治主導の下で行わ れるべきであり、地方六団体の各代表者と関係閣僚等により構 成される常設の「検討機関」を共同して設置し、特に、中央省 庁の解体再編を含めた中央政府のあり方及び地方の役割、地方 自治体の条例制定権の拡充・強化の方策、自主性・自立性の高 い地方税財政制度の構築について議論を進めなければならな い2国民意識の醸成が必要である2国民意識の醸成が必要である道州制の検討に当たっては、国民の意識を醸成し、理解を得 ることが大きな課題であるが、現時点で、道州制の具体的なイ メージについて、また道州制が我が国のあり方や国民生活にど のような変化をもたらすかについて、国民に十分理解されてい るとは言い難い状況にある そのため、国と地方の双方が道州制のメリットや課題につい て分かりやすく積極的な情報発信。
