
论文资料:終章地球環境問題の解決への展望.doc
13页第X章 地球環境問題 二酸化炭素放出削減法とその経済効果問題の背景 IPCCの科学的検討結果を受けて,気候変動枠組み条約が締結され,温室効果ガス削減を目指す京都議定書が1997年末に締結された超長期的には地球気候の低温化期への傾向が指摘されるなかで,短期的には18世紀からの化石燃料の大量消費に起因する地球温暖化傾向が確認されてきたとりわけ,アメリカを先頭とした第二次世界大戦後における先進資本主義国の化石燃料の大量消費は著しく,日本をとってみても,戦後,二酸化炭素排出量は約5倍化しているこうして,地球温暖化に対する先進資本主義国の歴史的責任と現在の責任は重大であるとくに,一人当たり及び絶対量の二酸化炭素排出量ともに,アメリカは安いガソリン価格と自動車の普及を原因として,世界一であり,一人当たり排出量でみると,中国・インドと10倍近くの開きになるしかし,削減費用という点からみると,二酸化炭素1トンを削減する限界削減費用は先進国が途上国に比べて多く,これまた10倍以上の開きもでているそこで,京都議定書では,柔軟性措置として,CDM(クリーン開発メカニズム,途上国と削減義務をおっている国との間での二酸化炭素削減の共同実施を途上国,例えば中国で行って,削減分の一部を削減義務国分として計算する),と共同実施・排出権取引(例えば,ロシアと削減義務を負う国々との間で)の導入を認めた。
この問題の経済学的背景には,一人当たり二酸化炭素の排出の格差といういわば使用価値面での問題と,削減費用の限界格差といういわば価値・貨幣面での問題がある経済的公正という面からの一人当たり二酸化炭素排出量の平等という原則の実施は合意困難であるが,経済的効率性からみて,削減限界費用の均等化という面から,そして途上国への技術移転という面から,こうした柔軟性措置が取られたのである[佐和隆光,1997] このように,炭素税,排出権取引,グリーン税制改革,補助金との組み合わせなど,理論と政策にわたる議論が活発に繰り広げられてきている[植田和弘,1997,石弘光,1999]炭素税の構想は,もともとはピグー税であるが,実際にはボーモル・オーツ税であり(第V章参照),排出権取引との比較検討,補助金との関係,「二重の配当論」(所得税の改革などとの組み合わせ効果)などの理論的検討とともに,政策的課題として,炭素税の二酸化炭素削減効果[松岡・森田,1999],石油関係税の炭素税化[横山・植田・藤川,1997],自動車税のグリーン化の検討が行われているすでに環境税が一部に導入されているヨーロッパでは,税・排出権取引・自主的協定などの政策効果が検討されている。
これと関連して,重要なのは,エネルギー税制とエネルギー政策と環境政策との関連である炭素税を単純に導入するだけならば,原発を促進することになり,省エネルギーを考慮すれば北欧のようにエネルギー消費税が必要であるまた,二酸化炭素削減をめざしながら原発代替エネルギー開発を進めるための税制,例えば今準備されている自然エネルギー促進法にどう具体化するか,理論的基礎とともに検討が必要であるその際,日本のエネルギー開発予算が圧倒的に原子力に向けられてきた歴史的経緯を留意すべきである本章では京都議定書マラケシュ合意の骨子を紹介分析するとくに,京都メカニズム,森林吸収の問題について,検討する京都議定書の骨子 1997年末に開かれたCOP3で決められた京都議定書の骨子は,1 温室効果ガスの削減目標を対1990年比,2008年から2012年までに,EUは8%,アメリカは7%,日本は6%削減する2 京都メカニズムという柔軟性措置を取り入れ,森林吸収(1990年以降),共同実施(JI),排出量取引,クリーン開発メカニズム(CDM)を導入する これを受けた,日本政府の対応策案は,6%削減分のうち,3.9%分を森林吸収,2.5%分を省エネルギー(原子力発電を含む),1.8%分を排出権取引・共同実施・CDMなど,である。
しかし,1990年以降の排出増加分が7%前後あるので,実際の必要削減分は13%以上となる(図 参照)排出削減コストの比較 さきに述べたように,京都議定書の削減義務を負う付属議定書Iの国々と,それ以外の国々とのあいでは,温室効果排出削減コストに大きな格差が存在する(図 参照)日本のように,省エネルギーの進んだ国では,「乾いた雑巾を絞る」ようだといわれるのに対して,中国やロシアでは,旧社会主義国の経済制度のために,エネルギー価格が低く設定され,省エネルギーへのインセンティブが良く働いてこなかったそこで,ロシアとの間で日本が温室効果ガス削減の共同実施を行っていく実施可能性調査がNEDO(新エネルギー開発機構)によって行われているそれによれば,発電施設や製鉄所の省エネ・合理化,天然ガスパイプラインの漏れの防止プロジェクトが検討されている また,中国との間では,コークス乾式消火設備などの省エネプロジェクトなど,CDMへ向けての取り組みが行われている 世界的には,アメリカが各国と共同実施やCDMの試験的取り組みを行っている比較基準となるのは,二酸化炭素一トン当たりの排出削減コストであるこれまでの実施例を見ると,アメリカ・オランダがコスタリカで行った,植林・森林保護が大規模なもので,削減コストもトン当たり0.82ドルで最低水準である(表 参照)。
これに対して,バルト諸国とスウエーデンが行っている地域熱供給や再生可能資源利用発電では,約20ドルで,風力発電などはより高価になる中国のコークス乾式消火設備の事例では,約10ドルと推定されている全体としては,植林・森林保全関係の削減コストが低水準であるこうした削減コストが基準となって,排出量取引の取引価格が設定されていく可能性がある 排出量取引は,1990年基準と比べて大幅に排出量を減らしたロシア・東欧諸国(ソ連崩壊は1991年)が,余った排出量の枠を,排出量市場に売りに出す可能性を見越して,それが「ホットエアー」といわれているロシア側から見ると,中央政府と地方政府が抱えた対外債務を相殺させたい動機も存在する日本やアメリカから見ると,限界削減コストと比べた場合に,排出量取引市場から購入した方が安価な場合には,排出量市場は魅力的なものになる可能性があるとくに,単体として二酸化炭素排出量の多い,電力会社や製鉄会社にとって,そうであるしかし,排出量取引の国際的な枠組みがまだ確立されておらず,ロシアの経済的・金融的条件もまだ不安定をぬぐえないことは,1998年夏の金融危機を見ても明らかで,日本企業が,ロシアとの排出量取引や共同実施を行う際の最大の問題となる。
「アメリカ離脱」をどう見るか アメリカは,ブッシュ政権となって,「京都議定書離脱」を宣言したが,まずその論拠を正確に理解することが必要である地球温暖化をめぐる論争は,①目標とすべきは,フローとしての排出量なのか,それともストックとしての濃度なのか,②早期の対策か,後からの対策か,③数量規制アプローチか価格アプローチか,の三つの論点があり,京都議定書はそれぞれの前者の立場にたち,一部価格アプローチを取り入れた ブッシュ声明は,議定書は例え遵守しても,濃度抑制する効果はほとんどなきに等しい,目標が短期で,中長期的な技術開発を阻害する,という意味で「致命的な欠陥」があるというものであるしたがって,さきの論争点のいずれも後者の立場に立つもので,それなりの「根拠」がある佐和隆光「持続可能社会に必要なエネルギー政策とは」『シンポジウム・エネルギー安全保障を考える』2001年11月30日,朝日ホール,要旨は『朝日新聞』2001年12月10日付け) したがって,今後アメリカが提案するという京都議定書に代わる代替案は,森林吸収や保全,排出量取引や価格アプローチ重視,国際的な技術開発が含まれるものと予想され,実際にも,森林吸収保全効果の基礎研究への研究費補助が急増している。
さらに,国際的な共同実施・CDM・排出量取引市場への実験的取り組みは引き続き行っている点は見逃せない「アメリカ離脱」の京都議定書は,どのような意味を持つのか98年時点で,付属議定書I国全体の排出量に占めるアメリカの比率は42%にのぼった1990年代の排出トレンドを見ると,付属議定書I国では,OECD欧州諸国では横ばい,ロシア等34%減少,日本・カナダ等11%増加で,アメリカを除くと,全体で11%の減少であったこのトレンドで見ると,2010年では,アメリカを入れると,8%増加となるが,アメリカ抜きでは,5%強の減少となる要するに,「アメリカ抜き」の京都議定書は,何の制約にもならない,ということになる(佐和,同上)しかし,EU諸国にとって,京都議定書達成は,21世紀を見据えて,持続可能な社会,省エネと脱物質化の方向をめざしたイニシアティブを世界で取るうえで,意義があると考えている日本は,アメリカとEUに挟撃されて,そこでどうすべきか,が問われているのであるBox 京都メカニズムにおける排出許可証取引と環境税 京都議定書の目標達成のために用意されているメニューには、国際的枠組みのもとでのCDM.JI,排出量取引と、国内的には①企業の自主的取り組み、②直接規制、③国内環境税、④国内排出許可証制度、がある。
理論上、排出許可証取引制度が環境税と完全に同等の効果を発揮するには3つの前提条件が必要である 第1に、排出許可証取引市場において独占・寡占が成立しないことである 第2に、投機的取引その他の要因により、取引価格が大きな変動にさらされないことである 第3に、総量がしっかり管理されていることである第1条件に対する懸念はロシアなどホットエアと呼ばれる供給寡占状態の可能性である第2条件に対する懸念は排出権取引にともなって国際的に巨額の資金移転が行われる可能性であるもっとも重要な第3条件に対する懸念は、CDMの存在であるCDMによって法的拘束力のない途上国から排出権を調達してもよいので、総量管理を緩めることになる2002年11月のマラケシュ合意では、排出権取引については10%の制限が付けられたが、CDMについは原子力を含まないという制限のみである排出許可証制度が環境税と完全に代替的な政策手段となるにはいくつかの条件が必要である第1に、初期配分を無償ではなく、競売で行われなければならないという点であるもし許可証が無償配分されれば、既存企業には既得権が認められていまい、新規企業に参入障壁となる第2に、生産から消費の末端までのどの段階で制御するのが望ましいかという問題がある。
排出許可証制度を消費段階で実施することはほとんど不可能である第3に、制度導入がもたらす分配問題にどう対処できるのかという点である初期配分を無償にする限り、「二重の配当」を得ることはできない広範な排出主体を制御し、それらの主体に排出削減への十分なインセンティヴを与えるには、環境税導入が効果的・効率的である諸富徹『環境税の理論と実際』有斐閣,2000年, 第9章環境税の導入による経済的影響で最も懸念されるのは①二酸化炭素排出量の多い素材・エネルギー産業の競争力の問題、②低所得層への逆進効果問題への対策、であるマラケシュ合意の骨子 2001年11月のCOP7(マラケシュ)では,大要以下の合意がなされたボンとマラケシュの合意によって,京都議定書実施体制の「ルールブック」が作成された■資金援助 ・技術移転などのために気候変動特別基金と後発展途上国基金を設立する ・気候変動に適応する具体的な事業を支援する適応基金を設立する ・先進国は,資金提供の。












